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歴史と自然遺産の宝庫 四川省の旅 ① 成都

2007年09月05日(水)

text by 北京支店

九寨溝

四川省は古来から「天府の国」と言われ、水と緑にあふれ、物産が豊かな土地として知られてきました。中国の世界遺産のうち6つがこの四川省に位置しています。
歴史遺産としては世界最大の磨崖仏の「楽山大仏」、天府の国を作った古代の水利施設「都江堰」、道教の建築群で有名な「青城山」。自然遺産としては、澄み切った湖と原生林の風景「九寨溝」、石灰棚の奇景「黄龍」、パンダの故郷「臥龍」があり、広い中国の中でも歴史・自然の双方の遺産がこれだけ多く残る省は他にありません。
これだけ見どころの多い四川省ですが、内陸に位置するため、日本から行くには乗り継ぎもあり、なかなか大変です。しかし、この夏、日本航空で日中国交正常化35周年を記念して日本から成都への直行のチャーター便を運航されることになるなど、最近益々注目度が高まり、日本からの観光も身近なものになってきています。
今回はそんな四川省をめぐり、数回に渡ってその見どころを紹介していきたいと思います。

まず第一回目は四川省の省都、成都の街を訪れます。

錦里
成都は三国志の蜀の都として知られる歴史都市ですが、その印象とは違って現在の成都は近代的なビルが立ち並ぶ大都市です。しかし、まだまだ一本裏道に入れば、庶民的な街並みが残っています。特に目立つのは茶館です。四川は中国の歴史上、喫茶の習慣が最も早くから始まった場所とされ、今でも昔ながらの茶館が多く残っています。いい大人たちが日がな一日麻雀やトランプに興じながらのんびりお茶を飲み、席に座っていると、耳かき屋や按摩屋、新聞・雑誌売りなどの物売り、偶には大道芸人なども見ることができます。 北京の胡同や上海の里弄などとはまた違った庶民的な風景が成都の下町の魅力です。 最近は昔の街並みを再現した商店街「錦里」、「琴台路」などもでき、観光客でも気軽に散策を楽しむことができます。



武候祀


成都で最も良く知られる歴史的人物は、三国志の英雄、諸葛亮孔明、劉備玄徳と唐代の詩聖、杜甫でしょう。成都の観光でも必ず訪れるのは彼らのゆかりの地です。
「武候祠」は三国志で有名な蜀の宰相、諸葛亮孔明の祠堂です。中には主君である劉備玄徳の陵墓もありますが、諸葛亮のおくり名である武候の名の祠となっているのは、今も昔も諸葛亮の方が人気があるからでしょうか?境内には諸葛亮と劉備だけでは無く、関羽や張飛、趙雲を始め、蜀の英雄たちの像が祀られています。その多さは他都市にある関帝廟等とは比べ物にならず、有名な武将はほぼ網羅されているといっても良いでしょう。三国志マニアにとっては、その一つ一つを見ていくだけでも半日はかかる三国志の聖地です。
武候祠の側には古い街並みを再現した「錦里」があり、四川の小吃をつまみながら、そぞろ歩きをするのも楽しみです。

杜甫草堂
唐代の詩人、杜甫は戦乱を避けて成都に4年あまり滞在したことがあり、この期間に最も充実した詩作が生まれたということです。その杜甫が住んだと言われる場所に、「杜甫草堂」があります。杜甫にとって成都はあくまで仮の住まい。住居も質素なものであったそうで、今はもう残っておらず、現在残るのは後代に作られた祠堂を始めとする建築群です。 園内には赤壁に挟まれた通路やうっそうとした竹林や梅林があり、四川ならではの緑豊かな庭園の雰囲気を楽しむことができます。杜甫にとって成都での暮らしは、あくまで戦乱を避けた不遇の時代ではありましたが、この庭園を見ると、この時代に最も杜甫の詩作が充実したのは、四川のこの豊かな風土が大きく影響していたのでは、と感じることができます。 武候祠が三国志の聖地なら、ここ杜甫草堂は漢詩の聖地と言える場所なのです。



麻婆豆腐

さて、1日成都の街を歩き回ってお腹が空いたら・・、そう、四川と言えば激辛四川料理です。
なぜ四川料理は辛いのか?四川省は夏は暑く、冬は寒い。「蜀犬日に吠ゆ」という位、曇りの日が多く湿度も高い。そこで辛いものを食べてたくさん汗を書いて体にこもった熱と毒を外に出そうという考えからだそうです。四川料理の辛さは「麻辣」と言われ、唐辛子の他に山椒が効いて舌が痺れる辛さです。その代表的な料理が「麻婆豆腐」。成都には元祖麻婆豆腐と言われる「陳麻婆豆腐店」があります。麻婆豆腐は成都の陳さんというあばた顔(麻)のお婆さんが考案したことからその名が付いたと言われています。さすが元祖は激辛。辛さに耐えながら麻婆豆腐だけを食べていましたが、周りの中国人を見ると皆、白いご飯の上に麻婆豆腐をのせて食べている。なるほど、ご飯と一緒に食べれば丁度いい辛さ。これが本場の食べ方なんですね。他にも四川料理には日本でおなじみの担担麺やおこげ料理など、美味しい料理がたくさんあります。本場の四川料理を堪能できるのも成都の大きな楽しみです。



川劇

夕食の後の楽しみは、四川省独特の伝統芸能「川劇」の観賞です。中国には京劇をはじめとして越劇、崑劇など様々な地方劇がありますが、中でも川劇は他の地方劇とは一線を画すエンターテイメントの要素に富んだ、独特の演目で知られています。中でも「変面」は、一瞬にして顔につけた面を変える芸で、連続して十数回にわたり、面を次々に変えていきます。
昔は一子相伝の秘伝の技で、その厳しさは日本でも公開されたことがある中国映画「変面王」にも描かれています。現在でも全中国で僅かな人しか会得していない変面を見ることができるのも成都ならではでしょう。

一日成都を歩き回りましたが、北京、西安、上海、同じ中国でも、どの都市とも違う四川省独特の雰囲気を味わうことができるのが成都の街です。ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

次回は成都を離れて、パンダの故郷、臥龍自然保護区へ向かいます。


 

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